最終確認:2026年11月(国の相場は2026年2月の値。ほかの数字の時点は本文に記載)
パワコン(パワーコンディショナ)は、パネルがつくった電気を送電できる形に変える機器で、止まると売電も止まります。いつ替えて、いくらかかるのかを、公表された数字の範囲で整理しました。
この記事のポイント
- 時期:メーカーの解説は10〜15年、国の資料(住宅用)は「20年間で一度は交換」です。
- 費用:住宅用5kWの相場は38.4万円程度です。低圧の公的な相場は見つからず、メーカーの想定例は9台で207万〜252万円です。
- 注意:容量を増やすと買取価格に響きます。保証があっても工事費は別のことがあります。
交換の目安は何年か
はっきりした統計は見つかりませんでした。メーカーのオムロンの解説記事(2024年6月掲載)は、平均的な寿命を10〜15年、早ければ8年目ごろから不具合が出るとしています。統計の出所は示されておらず、交換を案内する立場の記事です。
国の委員会は、太陽光発電協会への聞き取りとして「20年間で一度は交換」と書いています(住宅用5kWの想定)。どちらも目安で、その年に壊れるという数字ではありません。10kW以上のFITは20年です。低圧について書いた資料ではありませんが、買取期間の中で一度は交換が来ると見込んでおくと計画を立てやすいと考えています。
異音、頻繁な停止、続くエラーなどは、同じ記事が故障のサインに挙げています。切り分けの順番は発電量が伸びないときの記事で整理しました。
費用はいくらか
住宅用5kWなら38.4万円程度です。低圧の発電所の公的なkW単価は、探しましたが見つかりませんでした。下の表は前提の違う数字を並べたもので、どれも低圧の実勢ではありません。
| 何の数字か | 金額 | 前提 |
|---|---|---|
| 国の委員会が示す住宅用の相場 | 38.4万円程度 | 5kWの想定。太陽光発電協会への聞き取り |
| メーカー記事の1台の目安 | 約30万〜35万円 | 本体 約20万円+工事 10万〜15万円(メーカーの想定) |
| メーカー記事の例:9台を4年に分けて交換 | 252万円 | 10〜13年目に順に交換するメーカーの想定 |
| メーカー記事の例:9台をまとめて交換 | 207万円 | 10年目に一度に交換するメーカーの想定 |
38.4万円は住宅用の想定なので、kWあたりに直して低圧の容量に掛ける使い方はしないでください。9台の例は、メーカーが自社サービスを案内する記事の中の想定です。低圧で出所の分かる具体例はこれだけでしたが、見積もりがこの金額になるとは限りません。
相場は動きます。住宅用の数字は、2022年の意見の22.4万円から、29.2万円、34.5万円、42.3万円、2026年の38.4万円と変わってきました(2021年の報告は平均20万円。調査の問い方と時期はそろっていません)。
費用は何で変わるか
- 替え方:9台の例では、本体代はどちらも180万円で、差の45万円は工事費です。4年に分けると72万円、まとめると27万円です(内訳を当社で合計)。
- 交換の条件:2027年(高圧4月・低圧10月)以降は、通信機能(IP)のある機器に交換するときに、セキュリティのラベル「JC-STAR★1」が求められる見通しです(改定案の段階)。条件は10月26日のコラムで整理しました。費用の上がり幅を示す公的な数字は見当たりません。
見積もりは本体・工事・撤去処分を分けてもらうと比べやすく、台数をまとめた場合の金額も聞いておくと判断できます。
保証はどこまで効くか
保証の中心は機器の修理・交換で、工事費や止まっていた間の売電まで無料になるとは限りません。条件はメーカーと機種で違うので、お手元の保証書で確かめてください。
| メーカー | 保証の年数 | 読んでおく点 |
|---|---|---|
| オムロン(保証規定の例) | 1年/10年/15年(系統連系日から) | 取り外し・設置・配線の費用は販売店の契約条件による。天災・水害・地震・火災・雷・塩害は対象外。発電の補償はなし |
| パナソニック(単相) | 15年(無償) | 製造上の不具合を無料で修理。登録施工店などによる設置と申請が条件 |
| シャープ(住宅用・対象機種のみ) | 15年(無償) | 引き渡しから1か月以内に申し込む。途中で切り替えできない。対象外の機種は15年(有償)・10年(無償)など別の保証 |
2026年3月末までに結んだ延長保証や買っておいた予備品で★1の機器に替えられず、発電事業の継続に大きく響く場合は、送配電会社への相談と計画書の提出を条件に、猶予が認められる例に挙がっています(資源エネルギー庁のページ)。購入や契約の記録も残しておいてください。
交換で容量を増やすとどうなるか
買取価格に響きます。資源エネルギー庁の整理表(2026年4月1日更新)では、発電設備の出力を増やすと買取の単価(調達価格・基準価格)は「変更あり」、減らす場合は「変更なし」です。10kW未満の設備が増やしたあとも10kW未満なら、変更はありません。パネルの合計出力を3kW以上または3%以上増やす場合と、20%以上減らす場合は「変更あり」です。
出力を変えるには変更認定の申請が要り、電力会社の接続の同意とパワコンの仕様書などを添えます。機種を選ぶ前に、いまの認定の出力より大きくならないかを確かめてください。単価の高い時期に認定を受けた発電所ほど、影響は大きいと見られます。
同じ出力のまま別のメーカーの機種に替えるときの手続きは、整理表で該当する行を確かめられませんでした。資源エネルギー庁または担当の窓口で確かめてください。
税の扱いや工事の契約は案件で変わります。ご自身の場合は税理士・行政書士などの専門家へご確認ください。
売るとき・買うときは何を確かめるか
パワコンの状態は、中古の発電所の値付けと買い手の確認に影響します。次の3つをそろえてください。
- メーカー・型番・台数・設置年
- 交換と修理の記録
- 保証書と残りの年数(名義が変わったあとも効くかは、メーカーか販売店へ)
買い手は、残りの買取期間に来そうな交換を費用に入れて見ておくと判断しやすくなります。査定への効き方は査定額を決める5つの要素、記録の全体は点検の記録が値段を決めるで整理しています。
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参考資料
- 調達価格等算定委員会「令和8年度以降の調達価格等に関する意見」(2026年2月5日)p.31
- 調達価格等算定委員会「令和7年度以降の調達価格等に関する意見」(2025年2月3日)p.19
- 調達価格等算定委員会「令和5年度以降の調達価格等に関する意見」(2023年2月8日)p.23
- 調達価格等算定委員会「令和4年度以降の調達価格等に関する意見」(2022年2月4日)p.23
- 発電コスト検証ワーキンググループ「基本政策分科会に対する発電コスト検証に関する報告」(2021年9月)p.32
- 資源エネルギー庁「調達価格/基準価格が変更される事業計画の変更整理表」(2026年4月1日更新)
- 資源エネルギー庁「変更内容ごとの変更手続の整理表」(2026年4月1日更新)
- 資源エネルギー庁「電力分野のサイバーセキュリティについて」
- オムロン ソーシアルソリューションズ「パワコンの交換費用はいくら?」(2024年6月掲載・メーカーの解説記事)
- オムロン ソーシアルソリューションズ 保証規定
- パナソニック 産業用パワーコンディショナ
- シャープ 太陽光発電「安心の長期保証」
- 2027年から、パワコンの交換は“差し替え”では済まなくなる(当社コラム)
- 8月なのに発電量が伸びない(当社コラム)
- うちの発電所、いくらで売れる?(当社コラム)
- 中古の太陽光発電所が増えるほど、点検の記録が値段を決める(当社コラム)
