100地域達成で「選定フェーズ」終了、2026年度からは「実行の5年間」へ
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環境省が2026年度以降、脱炭素先行地域の新規採択を停止するというニュースが飛び込んできました。2022年から始まったこの制度、「100地域選定」という当初目標を達成する見通しとなり、一区切りを迎えます。
ただ、これは単なる「事業終了」ではありません。日本の地域脱炭素政策の「選定フェーズ」から「実行フェーズ」への大きな転換点です。
今回のポイント
- 脱炭素先行地域は2025年度中に目標の100件到達見込み、2026年度以降は新規採択停止
- 4年間で1自治体最大50億円、総額約5,000億円規模の交付金事業が一区切り
- 選定された地域は2030年度までの「実行」が求められ、真価が問われるのはこれから
なぜ今、新規採択を停止するのか
脱炭素先行地域は、2021年に策定された「地域脱炭素ロードマップ」に基づき、2022年1月から募集が開始されました。政府が掲げる2050年カーボンニュートラル目標を前倒しし、2030年度までに民生部門(家庭・オフィスなど)のCO2排出実質ゼロを目指す「先行モデル」として位置づけられています(出典:環境省 脱炭素地域づくり支援サイト)。
当初から「2025年度までに少なくとも100か所を選定」という明確な数値目標が掲げられていました。そして2026年1月現在、第6回募集までで全国40道府県119市町村の88地域が選定済み。第7回募集(2025年10月実施、冬頃結果公表予定)で目標の100件に到達する見通しです(出典:SOLAR JOURNAL 2026年1月13日)。
つまり、新規採択停止は「計画通りの達成」による自然な終了と言えます。ただし、ここで見落としてはいけない視点があります。
4年間で見えてきた成果と課題
環境省が2025年8月に公表したフォローアップ結果によると、選定された81地域で累計75.8MWの再エネが導入され、エネルギー代金の域外流出抑制額は累計48.9億円に達しました(出典:環境ビジネスオンライン 2025年11月21日)。
数字だけを見れば一定の成果は出ています。しかし、同時に「計画通りに進む地域と遅れる地域との進捗差の拡大」も浮き彫りになりました。
多くの自治体が直面している共通課題は2つあります。1つは「太陽光以外の再エネ導入における事業性の確保」。もう1つは「住民の合意形成」です。選定はあくまでスタートライン。交付金が終了した後も自立できる持続可能な事業モデルを構築できるかが、各地域の真価を問うことになります。
「選定」から「実行」へ:空白7都県の課題
興味深いのは、これまでに選定された計画提案が1件もない都道府県が7つ残っていることです。東京都、石川県、和歌山県、徳島県、香川県、大分県、佐賀県の7都県です(出典:SOLAR JOURNAL 2025年10月7日)。
脱炭素先行地域評価委員会は「先行地域は『実行の脱炭素ドミノ』の起点であり、各都道府県にあることが望ましい」とコメントしており、空白県への懸念を示しています。特に東京都が含まれている点は、日本最大のエネルギー消費地における地域脱炭素の難しさを象徴しているとも言えます。
とはいえ、100地域すべてが「模範的なモデル」である必要はありません。環境省の冨安健一郎・地域政策課長は「極端に言えば100パターンの多様なモデルを選定することが必要」と述べており、農山漁村から都市部まで、多様な地域特性に応じた脱炭素の道筋を示すことが本制度の真の目的です。
「デコ活」検証も同時進行:国民運動の効果測定へ
今回の発表で見落とされがちなのが、新規採択停止と併せて「デコ活」の取り組み検証も行われるという点です(出典:SOLAR JOURNAL 2026年1月13日)。
「デコ活」は2023年7月に始まった脱炭素国民運動の愛称で、「二酸化炭素(CO2)を減らす(DE)脱炭素(Decarbonization)」と「エコ(Eco)」を組み合わせた造語です。2026年1月時点で1,000以上の企業・自治体・団体が「デコ活応援団」として参画しています(出典:環境省デコ活ポータルサイト)。
脱炭素先行地域が「地域」からのボトムアップアプローチだとすれば、デコ活は「国民・消費者」への行動変容を促すトップダウンアプローチ。両者の効果を併せて検証することで、日本の脱炭素政策全体のPDCAサイクルを回す狙いがあると考えられます。
2026年度以降の展望:実行集中期間の始まり
では、脱炭素先行地域の新規採択が停止された後、何が起きるのでしょうか。
まず、選定された100地域は2030年度までに計画を「実行」しなければなりません。環境省は2026年度以降2030年度までの5年間を新たに「実行集中期間」として位置づけ、フォローアップと伴走支援を継続する方針です(出典:環境省説明資料 2025年6月2日)。
計画が未達成と評価された場合、追加的な取組の実施を求められる可能性があります。さらに、取組の進捗が一定の水準に満たない場合には、脱炭素先行地域の取消しや交付金の返還対象となることも考えられます(出典:環境省 脱炭素先行地域FAQ)。
一方で、選定されなかった自治体や、今後脱炭素に取り組みたい自治体への支援が打ち切られるわけではありません。「重点対策加速化事業」など他の支援メニューは継続されますし、先行地域の成功事例を横展開する「脱炭素ドミノ」こそが、本制度の最終ゴールだからです。
考察:100地域達成は「成功」なのか
ここで一つ問いを立ててみましょう。「目標100件達成」は本当に「成功」と言えるのでしょうか。
確かに、数値目標は達成されました。しかし、脱炭素先行地域の本質的な目的は「2050年カーボンニュートラルに向けた地域モデルの創出と横展開」です。その観点から見ると、評価はまだ早いと言わざるを得ません。
選定された地域が2030年度までに本当にCO2排出実質ゼロを達成できるのか。その成功事例が全国に波及して「脱炭素ドミノ」が起きるのか。これらの答えが出るのは、早くても2030年以降になります。
むしろ注目すべきは、この4年間で得られた「学び」です。どのような地域特性を持つ自治体が脱炭素に成功しやすいのか。官民連携はどのような形が効果的なのか。住民合意形成のベストプラクティスは何か。これらの知見が体系化され、次のフェーズに活かされることこそが、5,000億円規模の投資に見合う成果と言えるでしょう。
まとめ:これからが本番
脱炭素先行地域の新規採択停止は、日本の地域脱炭素政策における一つの区切りです。しかし、それは「終わり」ではなく「始まり」です。
選定された100地域が2030年度までに本当に脱炭素を実現できるか。その過程で得られた知見が全国に横展開されるか。そして、デコ活を通じた国民の行動変容は実際に起きるのか。
2026年度からの「実行集中期間」こそが、この壮大な社会実験の真価を問う本番です。私たちは、その結果を注視していく必要があります。
参考資料
- 環境省「脱炭素地域づくり支援サイト」 https://policies.env.go.jp/policy/roadmap/preceding-region/
- SOLAR JOURNAL「環境省 2026年度以降、脱炭素先行地域の新規採択を停止」(2026年1月13日) https://solarjournal.jp/policy/62185/
- 環境ビジネスオンライン「脱炭素先行地域100カ所目前 環境省に聞く現状と展望」(2025年11月21日) https://www.kankyo-business.jp/column/9004b598-742d-4e43-9f52-11ba6fa3db6c
- SOLAR JOURNAL「環境省 10月6日から脱炭素先行地域の第7回募集を開始」(2025年10月7日) https://solarjournal.jp/policy/60463/
- 環境省「デコ活(脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動)」 https://ondankataisaku.env.go.jp/decokatsu/
※この記事はWriters-hub様のご協力により生成AIでリサーチ、生成した記事を元に編集しました。
記事内容の詳細については参考資料をご覧ください。
