構造計算書の5割超に問題。売買前に知るべきチェックポイント

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「ちゃんと設計されていると思っていた架台が、実は基準を満たしていなかった」——。

中古太陽光発電所(セカンダリー市場)への投資を検討している方、あるいはすでに発電所を保有している方にとって、2026年3月24日の閣議決定は無視できない内容です(出典:経済産業省「電気事業法の一部を改正する法律案」2026年3月24日)。

今回の電気事業法改正の目玉のひとつが、太陽電池発電設備の支持物(架台・基礎)に対する「第三者機関による工事前確認制度」の創設です。

この改正が浮き彫りにしているのは、ある不都合な事実——日本全国に稼働中の太陽光発電所の多くで、架台の構造計算書に深刻な問題が潜んでいるという現実です。

今回のポイント


「第三者確認義務化」で何が変わるのか

政府はこれまで、10kW以上2000kW未満の事業用太陽光について「使用前自己確認制度」(2023年義務化)を運用してきました。文字通り事業者自身が確認する仕組みで、第三者の目が入らない点が長年の課題でした。

今回の電気事業法改正案で導入されるのは、「登録適合性確認機関」と呼ばれる国登録の第三者機関が、工事を着手する前に構造基準への適合性を確認する仕組みです(出典:経済産業省プレスリリース 2026年3月24日)。

対象はシンプルかつ広範です。出力10kW以上、つまり住宅用を除くほぼすべての産業用太陽光発電設備が射程に入ります。これは低圧(10〜50kW未満)の小規模設備から高圧・特別高圧まで網羅する抜本的な制度変更です。

風力発電ではすでに同様の制度が定着しており、「太陽光にも同じ水準の安全確認を」という業界・行政の意識の転換を象徴しています。


なぜ今なのか——5割超という現実

この改正を後押しした背景には、調査データが示す厳しい現実があります。

民間専門機関が実施した立ち入り検査では、構造計算書に関する指摘事項が5割を超えたと報告されています。さらに2022年の電気事業法改正で届出義務が課された低圧事業用太陽光を対象とした調査では、約3割の案件で構造計算書の存在を確認できなかったという衝撃的な数字が明らかになりました(出典:経産省 電力安全小委員会報告書 2026年3月12日)。

2012年のFIT制度開始後、太陽光発電は空前の設置ラッシュを迎えました。「とにかく早く稼働させて売電収入を得る」というプレッシャーの中で、架台や基礎の設計は二の次になりがちだったのです。

台風でパネルが飛散する事例、積雪で架台ごと傾いてしまう事例、基礎杭が想定外の地盤状況で沈下する事例——こうした事故の背景には、構造計算が不十分なまま施工された設備が少なくないことが、今回の調査で裏付けられた形です。


中古発電所市場との「交差点」

ここで重要な視点が生まれます。「第三者確認義務化」は新規工事を対象にした制度です。では、すでに稼働中の既存設備はどうなるのでしょうか。

現時点では、既存設備そのものに直接遡及適用される見通しはありません。ただし、問題はその先にあります

2026年は、2012年のFIT制度開始から13〜14年が経過した発電所が市場に大量に出回るタイミングです。パワーコンバーター(パワコン)の保証切れ、設備更新費用の増加、出力制御リスクの拡大——こうした要因が重なり、発電所のセカンダリー市場は近年活況を呈しています(出典:タイナビ発電所 市場動向レポート 2026年)。

まさにこのタイミングで「構造計算書の5割超に問題あり」という事実が公になりました。

中古発電所の売買においては、デューデリジェンス(DD)の重要性がこれまで以上に高まっています。買い手にとって架台の安全性は、もはや「確認しておくとベター」な事項ではなく、投資判断の核心に直結する課題です。


深掘り:見落とされがちな2つのリスク

リスク① リパワリング時に新制度が発動する

今後、老朽化したパワコンの交換にあわせてパネルや架台を刷新する「リパワリング(設備更新)」を検討する事業者が増えていきます。

ここが落とし穴です。架台の一部でも工事を伴う場合、新制度における「工事前確認」の対象となる可能性があります。構造計算書が存在しない、あるいは現行のJIS規格(JIS C 8955:2017)を満たしていない設備は、リパワリングに追加コストが生じるリスクを抱えることになります。

中古発電所を購入する際に「将来のリパワリングコストをどう見積もるか」という視点が、今後ますます重要になってくるでしょう。

リスク② 金融機関・機関投資家の与信評価が変わる

もうひとつの見落とされがちなリスクは、ファイナンス面です。機関投資家や金融機関が太陽光発電所を評価する際、設備の法令適合性は信用力の根幹です。

第三者確認制度の導入によって「設計基準に問題がある発電所」の実態が可視化されるようになれば、構造計算書が存在しない・不備がある発電所は、担保価値や売却査定に直接マイナスの影響を及ぼす可能性があります。日本生命がすでに再エネ電力の調達先を厳選する姿勢を示していることも、この流れを示唆しています(出典:SOLAR JOURNAL「太陽光発電の規制強化最新動向」2026年3月)。


売買前に確認すべき5つのチェックポイント

こうした状況を踏まえ、中古発電所の取得・売却を検討している方が確認すべき事項を整理します。

① 構造計算書の存在と内容の確認

まず「構造計算書が存在するか」を確認してください。前述のとおり、低圧案件の約3割で書類が存在しないケースが報告されています。存在する場合も、設計荷重(風圧・積雪荷重)がJIS C 8955:2017の水準を満たしているかどうかを確認することが望ましいです。

② 設置時期と設計基準の関係

FIT開始直後(2012〜2015年頃)に設置された発電所は、現行ガイドライン(2019年版・2025年版)策定前の設計基準で建設されたものが多く存在します。設置時期から逆算してリスクを評価する視点が必要です。

③ 過去の自然災害・被害歴の調査

台風・大雪・豪雨で被害を受けた履歴がある発電所は、目視上は正常に見えても構造的なダメージが累積している可能性があります。発電量データのほか、メンテナンス履歴の精査が不可欠です。

④ 地盤状況と基礎形式の確認

スクリュー杭基礎の場合、地盤強度と打ち込み深さが設計通りかどうかが重要な確認事項です。地質調査データが保存されているかどうかも確認ポイントとなります。

⑤ リパワリング費用の試算

パワコン交換・パネル更新の時期を見据え、架台も含めた設備更新コストを試算したうえで取得価格を評価することが、今後のリターン見通しの正確性を高めます。


提言:「発電実績」だけでは発電所は評価できない時代へ

これまで中古発電所の評価は「発電実績」と「残存FIT期間」が中心でした。しかしこれからは、「設備の構造安全性」が第三の評価軸として加わる時代が始まります。

政府は「量から質へ」という方針転換を明確にしました。FIT/FIPの地上設置新規支援廃止(2027年度以降)と並行して、今回の架台確認義務化は、「安全で長期安定した発電所が生き残る」環境を整えるための政策セットです(出典:資源エネルギー庁「太陽光発電について」2026年1月)。

中古発電所を活用した事業継続を検討する方にとっては、まさに「設備の体力検査」の時代が来たと言えます。発電実績の確認に加えて、構造面のデューデリジェンスを当たり前の商慣行として定着させることが、市場全体の健全化につながるでしょう。


まとめ


参考資料


※この記事はWriters-hub様のご協力により生成AIでリサーチ、生成した記事を元に編集しました。
記事内容の詳細については参考資料をご覧ください。